建築家とキャスティングディレクター夫妻の自邸兼仕事場「JINGUMAE」。
来客との打ち合わせにも使われるダイニング空間に、機能とデザインを両立させたアイランド型キッチンを設けました。
人が集まり、会話が生まれる場。来客とキッチンを囲む時間や、ホームパーティーでのドリンクバーとしての使い方を想定し、空間の中心に据えた設計です。
キッチン本体は、両面に収納を備えた構造。IHコンロや水栓側には調理器具を、ダイニング側にはカトラリーや打ち合わせ時に使うツールを収納し、動線に合わせて機能を分担。限られたスペースの中で容積を最大限に活かし、実用性と美しさを両立させています。
背面収納の両側に設けた窓からは、外装の印象的なイエローが反射した光が差し込みます。その色味に干渉されず、空間に溶け込むよう選んだのは、落ち着きのあるグレーグリーン。窓越しに見えるビワの木の色彩とも自然に調和します。
内装には、手作業の跡が残るタイルを採用。素材の存在感を損なわないよう、キッチンにはスーパーマットな質感を持たせ、無機質で静かな佇まいを目指しました。建築と内装のテーマである「曲面」に呼応し、キッチンの形状にも緩やかなR(曲線)を取り入れています。
足元には高さを持たせた鏡面仕上げの台輪を採用し、重さを感じさせない軽やかさをプラス。静けさの中に確かな存在感を持つ、唯一無二のキッチンが完成しました。